オーディエンスになる対象(ペルソナ)は誰かを考える

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どうしてペルソナを定義するのか?

ターゲットオーディエンス

前ページでマーケティングフレームワークを使ったビジネス全体の分析について解説しましたが、この章ではその中の「ターゲット」によりフォーカスして解説を行います。

マーケティングでは、特定の製品やサービスを購入する傾向が強い層(見込み客)のことを、「ターゲットオーディエンス」や「ペルソナ」という言い方をします。

購買層を明確化することで、無駄がなく効率的なマーケティング戦略にもつながり、費用対効果の高い施策を打つことにもつながります。

ターゲットユーザーとペルソナの違い

ターゲットユーザーは、例えば「玩具」を販売する企業であれば、「子供」や「親世代」「祖父母世代」「親戚や友人」などの顧客となる対象の属性値によって絞られるセグメント(分類条件によって限定されたユーザー)になります。

「0~3歳」「4~6歳」「10歳未満」などの年齢層であったり、「男児」「女児」などの性別であったり、マーケット全体の中から、貴社の製品やサービスに興味を持つ可能性が高い、共通の特徴を持つグループがターゲットユーザーです。

ペルソナは、ターゲットユーザーをより具体的に描写するための架空の人物です。

ターゲットユーザーは広範なグループを指し示しますが、ペルソナはそのグループの代表的な人物をより具体的に想像し、趣味や嗜好、年齢、家族構成などパーソナルな部分まで踏み込んで設定を行った見込み客のイメージ像になります。

ペルソナは、ターゲットユーザーに対してより個別かつ具体的なアプローチをするための手段として設定します。

ターゲットユーザーを理解するには?

ペルソナを定義することで、ターゲットユーザーをより深く理解することができます。

ターゲットユーザーの属性や興味、ニーズを明確にすることで、Webサイトのコンテンツや機能をターゲットユーザーに合わせて最適化することができます。具体的な施策を検討する前に、相手を理解することが大切です。

さらに、ペルソナを通じて、ユーザーが求める情報やユーザー体験を提供することができるようになります。

ターゲットユーザーに対する効果的なPR方法

ユーザーが製品やサービスを購入する際に、その製品のことを知り、実際に購入するまでにはタイムラグが発生します。

「初めて製品やサービスを見て、すぐに購入する場合」もあれば、「前から知っていたけど、たまたま友人のオススメで購入した」など、ユーザーごとのタイミングに合わせて購入される時期も同じではありません。

ペルソナを設定することで、見込み客(リード)に対する理解の解像度が上がり、より具体的なアプローチやプロモーションを検討することにつながります。

例えば、「オーガニックの化粧品を販売する企業」が「冬の乾燥肌で悩んでいる10代の女性、アルバイトはしていない、姉がいる」といったペルソナの設定をした場合、「冬場になる前に、安価で保湿性の高い商品を、YoutubeやInstagramで若い世代に人気のあるインフルエンサーを使って広告を出す」などの戦略を立てることにつながります。

また、姉妹や友人から口コミで拡散させるために、「20代の女性向けに類似の商品をプロモーションし、セットで販売する」など、全体的なプロモーション戦略にも役立てることができるようになります。

ターゲットのセグメンテーションを行う方法

オーディエンスの分類

まずは、マーケットの中に存在する顧客層を抽出するために、統計学的なデータを元に、ターゲットオーディエンスの分類を行います。自社の製品やサービスを購入してくれそうな「層」にフォーカスして見ていきます。

人口統計を活用する

人口統計は、年齢、性別、職業、収入などの情報を収集し、ユーザーを分類する方法です。

生まれた世代(Z世代や団塊世代など)によって共通する好みや、性別を対象にしたマーケットを想定して分類します。

条件になるもの

  • 性別
  • 年齢
  • 配偶者の有無
  • 学歴
  • 所得
  • 人種や宗教

地理的なセグメンテーションを行う

ジオグラフィック(地理情報)を元にターゲットの分類を検討します。

温かい地方、寒い地方、海が多い地方、山が多い地方、など地形や気候などによって、不要必要な条件が異なるなど、分類を行うことでマーケットの特定がしやすくなります。

条件になるもの

  • 自分が住んでいる地域
  • 住んでいる場所から30km離れた圏内
  • 言語
  • 都道府県
  • 市町村
  • 物価
  • エリア(工業区域のような特定業種が集まった場所)

サイコグラフィックによる分類

サイコグラフィックは、趣味や嗜好、価値観、ライフスタイル、社会的地位などの特徴で分類したグループです。

信念や価値観などが含まれるため、数値データとしては目に見える情報ではありませんが、「傾向」として分類することができます。

条件になるもの

  • 性格(内向的、外交的、感情的、社交的など)
  • ライフスタイル(普段●●をやっている人、趣味が●●など)
  • 宗教
  • 社会的地位
  • 音楽やスポーツの好み
  • 所属団体やコミュニティへの参加
  • 購入履歴

具体的にペルソナを設定していく

カスタマーオーディエンス

ペルソナを設定する場合、先にターゲットオーディエンスを絞り込んで、その中から対象を1人選び、具体的な情報を設定していきます。

実際の顧客の中から抽出する

既存の顧客データの中からサンプルを抽出し、モデルとして利用することで、ペルソナをイメージしやすくなります。

ここでは、中古車販売を行っている会社で、過去に販売歴のあるAさんをペルソナとして用意し、営業マンからヒアリングした情報を元に「年齢・性別」「家族構成」「勤め先」「趣味・嗜好」「普段の行動や過ごし方」の情報を抽出しました。

実際の顧客を元に情報を可視化

次はAさんに対して、どのような販売アプローチが有効か?を考えてみます。

Aさんの趣味や普段の行動から、自社サービスとの接点を考え、次の販促につながるポイントを探していきます。

ペルソナに対して販売戦略を検討する

例えば、Aさんが「自動車の買替えを検討しているタイミング」でとる行動を予測してみます。家族構成や趣味などを元に、「機能性があり、家族とも外出しやすい車を探すだろう」という予測を立てました。

ペルソナの行動を予測

Aさんのライフスタイルに合わせて、販売価格の設定や、トークスクリプト(営業用の接客台本)、欲しくなりそうな商品のラインナップ、などより具体的なプロモーションについて検討します。

ペルソナを設定することで、家族構成や、趣味、世帯年収が類似するその他の顧客もターゲットに、より具体的な販売戦略のイメージにつながっていきます。

ペルソナへの解像度を高める

ペルソナに対して、具体的にどういった形で悩みを解消したり、ベネフィットを提供できるかをもう少し詳しく見ていきます。

ペルソナが関心の高そうな情報や、ストーリー、直面する課題や懸念事項など、実際のペルソナの立場に立った視点で、プラスとマイナスの情報を抽出します。

プラスになる情報

  • 中古車と新車の比較情報
  • 最近のトレンドについて
  • 車の機能の詳細
  • 限定情報や特典など
  • 将来、どういった活用ができるのか

不安を解消するための情報

  • 車のメンテナンスについて
  • 車検や保険などの付加サービス
  • 事故が起きた際のカスタマーサポート
  • 自動車運転に関する法改正などの情報

設定したペルソナを元にカスタマージャーニーを作成する

カスタマージャーニーマップ

カスタマージャーニーマップとは?

カスタマージャーニーマップは、顧客が企業との接点を持ち、製品やサービスを購買利用し、継続的な顧客となるまでの一連の流れを図表にした資料のことです。

顧客との接点(タッチポイント)を洗い出し、具体的な購買にいたるまでの「販売経路」を図表にまとめていきます。カスタマーエクスペリエンス(顧客体験)をまとめていくことで、より顧客を理解することに役立ちます。

Webサイトのコンテンツをカスタマージャーニーマップに合わせる

カスタマージャーニーマップを用意することで、顧客がどのタイミングで自社のメディアや広告に接し、どういった経路を踏まえて、何を検討して次の行動に移すのかを分析することができるようになります。

その結果を元に、顧客への「訴求ポイント」を検討し、「課題解決」や「不安解消」に向けたコンテンツを用意することによって、より役に立つ情報を用意することができます。

より役立つ情報は、Webページに掲載するなど、顧客にとっての利便性を追求していくことで、より高い顧客満足度に向けた企業活動を行うことに役にたちます。

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