業界トレンドや動向調査の進め方事業の注目すべき変化・避けるべき潮流を知る

市場調査は、同業の中で、どんな依頼や相談が増えている傾向にあるのかを知るために行います。市場の状況を知ることで、業界の今の動きを把握できます。

この記事では、トレンド動向を効率よく押さえるための、「情報の探し方と確認方法」、「どの部分を戦略の参考にするのか」を具体的に解説します。

SWOT分析&ロジックツリーで自社の強み・弱みを出すでシートを作成している場合、新しく得た情報をO(機会)/ T(脅威)に追記することも可能です。

市場を押さえると外部環境を知ることができる

マーケットリサーチ

市場の変化は、事業の成果に直接影響します。特に中小企業においては、外部環境の変化を把握できているかどうかが、「売上が伸びるか、停滞するか」を分ける要因になります。

市場の変化は仕事の増減に直結する

市場は、個別の出来事ではなく、「どの分野に資金や需要が集まっているか」という大きな流れによって動いています。国の予算配分や政策の方向性、業界ごとの成長・縮小といった動きによって、どの領域に取り組みが集中するのかが決まっていきます。

特定の分野に対して国の予算が増えたり、政策として推進される内容が明確になると、その分野に関連する取り組みが一気に広がり、業界全体で必要とされる仕事も増えていきます。

一方で、予算が縮小されたり、重点領域から外れた分野では、関連する取り組み自体が減少し、業界の動きも鈍化していきます。

さらに、法改正や制度変更といった個別の変化が発生します。これらは時代や環境の変化によってあらわれ、求められる業務内容そのものを変えていきます。

改正直後は「何をすればいいのか分からない」という相談が増え、その後は「対応できる会社を探したい」という具体的な依頼に変わっていきます。さらに時間が経つと、対応の有無や実績が比較されるようになるなどの変化につながり、仕事の量や内容そのものに影響が出てきます。

情報源の探し方(何を見れば良いか)

公的統計・白書

市場調査の情報源は目的で選びます。市場の「大枠をつかむ情報」と、「現場の変化をつかむ情報」を分けて使うと効率が上がります。

市場の大枠をつかむ:公的統計・白書

信頼性の高いデータで市場の方向性を確認します。あくまで大枠をつかむために調査します。

  • e-Stat(政府統計の総合窓口)日本の全府省庁の統計データが集約されたポータルサイトです。「地図で見る統計」機能を使えば、地域ごとの違いも確認できます。
  • RESAS(地域経済分析システム)経済産業省と内閣官房が提供している、産業構造や人口流動、観光マップなどがグラフや図で直感的に確認できるツールです。
  • 通商白書(経済産業省)国内外の経済動向や、DX、グリーン戦略といった中長期的な産業課題がまとめられています。
  • 情報通信白書(総務省)インターネットの普及率、SNSの利用動向、AIの活用状況など、IT・Web領域の調査に役立つ資料です。
  • 中小企業白書(中小企業庁)B2Bビジネスにおいて、取引先となる中小企業の経営課題や投資意欲を理解するために有用です。
  • 新聞(経済紙・業界紙)日々のニュースや特集記事から、政策の動きや業界全体の流れを把握することができます。

現場の変化をつかむ:業界団体・専門メディア・他社サイト

現場の課題や動向は、専門メディアや業界団体の情報から確認します。関連のある業種に合わせてリサーチしてください。

また、他社サイトや求人情報も、企業の取り組みや募集内容を確認するための情報源として活用できます。

市場環境の状況をつかむ

市場全体と市場の内部

次は、外部環境の変化を、自社の戦略や施策の判断に使うために、市場を分解して確認していきます。

特に見るべきポイントは、「市場全体の動き」「依頼先の選ばれ方の変化」「求められる仕事の内容の変化」の3つです。

市場全体の動き(マクロ環境)

市場全体の動きは、どの分野が成長しているか、どの分野が縮小しているかといった全体の傾向から確認します。

  • 公的統計・白書該当する業界のデータを確認し、どの分野の数値(予算や売上)が伸びているかを見つける
  • 業界ニュース・専門メディア記事を読み、繰り返し取り上げられているテーマや分野を拾う
  • 業界団体・調査レポート市場動向や成長領域のデータを確認する

これらを組み合わせて確認することで、需要を見つけるための情報(どの分野が成長しているのか、どの領域に資金が集まっているのか等)を把握します。

依頼先の選ばれ方(重視される条件や項目の変化)

依頼先の選ばれ方の変化は、仕事を外注しようとしている企業の担当者が、依頼先を検討する際に、どの項目を見て比較検討しているのかを確認します。

  • 比較記事・ランキング記事「ランキング」や「おすすめ」キーワードで検索し、比較表や見出しに並んでいる項目を拾う
  • 他社サイトの導入事例・お客様の声事例ページを読み、選ばれた理由として書かれている内容を抜き出す
  • 業界メディアの記事記事を読み、どの観点でサービスが紹介されているかを整理する

ここは、あくまで公開情報から傾向をつかむための観点です。傾向を見ることで顧客が何に困っているか(依頼を出す側が何を重視しているのか、どの条件が注目されているのか等)を知ることができます。

求められる仕事の変化(ミクロ環境)

求められる仕事の内容の変化は、競合のサービス内容や発信内容から確認します。

  • 他社のサービスページ提供内容や対応範囲を読み、どの領域まで対応しているのかを確認する
  • 他社サイトのオウンドメディア記事内容を確認し、どの分野の発信が増えているかを拾う
  • 専門メディアや記事記事を読み、繰り返し扱われているテーマを抜き出す

これらを組み合わせて確認することで、需要の傾向(競合が何に力を入れているのか、どのような業務が増えているのか等)がわかります。

これらの3つの観点を洗い出しておくと、次ページからの分析がより正確になっていきます。

こちらの記事も合わせて読みたい

今後の事業の方向性をトレンドから考える

ビジネスの潮流

次は、市場環境の変化をもとに、自社がどの方向で事業を進めるのかを検討します。

注目すべき変化の捉え方

市場環境は「すべての変化」を見るのではなく、「特に影響の大きいもの」に絞って確認すると効率よくとらえることができます。

  • 複数の情報源で「同じテーマ」が出ているかを確認する
  • 最近増えている「分野」や「テーマ」を並べる
  • 直近で、自社に繰り返しきている依頼や相談内容を抜き出す

これらを行うことで、今どの分野(テーマ)が注目されているかが確認でき、将来の事業の方向性を見直すことができます。

避けるべき流れは?

次に、衰退傾向や競合の増加など、今後依頼が減る可能性がある流れも確認します。

  • 価格競争が強くなっている分野「〇〇 料金」「〇〇 安い」で検索し、価格競争がどの程度前面に出ているかを確認する
  • 代替手段(ツール・内製)が増えている領域「〇〇 自分で」「〇〇 ツール」で検索し、外注以外の選択肢が増えているかを確認する
  • 市場が縮小している分野Googleトレンドなどで、話題や露出が減っていないかを確認する

これらを行うことで、どの分野を避けるべきかを整理でき、優先すべき施策または停止すべき施策を検討することができます。

まとめ:市場調査は、需要と顧客の課題を確認するための準備

この記事では、市場の外部環境を把握し、事業への影響を調査する方法について確認しました。

さらに、具体的な戦略の判断材料として使うために、事業トレンドを確認する方法も整理しました。

POINT

  • 依頼が増えている分野の中から、自社が対応できる領域を選ぶ
  • 選ばれ方の傾向と、自社の強みが合うポイントを探す
  • 求められている内容と、自社の提供範囲を照らし合わせる

これらのポイントをふまえることで、次にどのような分野に注力し、どのような分野を避けるべきかを判断できます。

次のページでは、顧客像を具体的にとらえ、相性の良いターゲットを見つける方法について解説します。

次ページ:顧客を理解し、相性の良いターゲットを見つける