今月やるべきマーケティング課題の診断やるべきこと・やらないことの判断と施策

これまでの流れで「戦略テーマ作成」や、それをもとにした「売れる仕組み」を用意してきましたが、次は、現在、事業の中でどこが改善すべきボトルネックかを特定していきます。

これによって「直近でやるべきマーケティング施策」を判断でき、無駄な経費や時間をかけるリスクを軽減することができます。

マーケティング施策は「全部やる」ものではなく「選ぶ」もの

販促につながるマーケティング改善

直前までの戦略では、事業そのものについて検討を行いましたが、次は「売れる仕組み」の中で現在やるべきマーケティング課題を具体的に考えていきます。

顧客との関係を整理して改善する

事業は、顧客との接点を持ち、関係を作りながら広めていきます。

実際には「顧客から見つけてもらう」→「最初の行動をとってもらう」→「購入/利用するために判断してもらう」→「再利用または紹介してもらう」、という流れの中で関係が生まれます。

流れ内容
入口
(認知獲得)
地図、店頭、ホームページ、
ネット検索、紹介、地域メディア、広告など
行動
(接触・
初回アクション)
問い合わせ、予約、相談、資料請求、LINE登録など
判断材料
(利用・購入を決める
ための情報)
料金、内容、事例、実績、口コミ、保証範囲など
継続
(再利用・紹介)
アフターフォロー、リピート導線、口コミ依頼など

この中で、事業の課題としてどこが詰まっているのか(ボトルネック)を特定し、改善をすることが「直近でやるべきマーケティング課題」になります。

やるべきことがわかる4つの判断材料

事業の課題を発見する

まず、対象とする事業について「顧客からどのような買われ方をする事業なのか」を分類します。買われ方のパターンを見ることで、現在の課題(ボトルネック)を特定しやすくなります。

緊急度、リスク、流入経路、決定権の4つの観点から、現在の事業がどのパターンに分類されるかを確認してください。

現在のボトルネックをすぐに知りたい場合、「その場で使える診断チャート」をご利用いただけます。

顧客からの買われ方
買われ方のパターン緊急度リスク流入経路決定権
ローカル即決型中~高地図・検索・地域メディア等本人
ローカル比較型低~中地図・検索・地域メディア等本人
B2B型低~中地図・検索・紹介・営業等複数
(チーム
または上長)
EC型(低単価)低~中低~中検索・ポータルサイト等本人
EC型(高単価)低~中検索・ポータルサイト等本人

緊急度(急いでいるか、時間をかけて考えるか)

顧客の課題の緊急度が高いほど、時間をかけずに決断までのプロセスが進みます。この場合、優位になるのは「近い」「早い」「便利」などの条件です。

■ 顧客が急いでいる場合

  • 緊急トラブル・利用不可(壊れた、動かない、使えない、システム障害、今すぐ解決したい)
  • 期限・締切が迫っている(今日・明日、納期、イベント、申請期限、罰則あり)
  • 機会損失のリスクがある(満席・満枠、チケット、機会を逃す)
  • 代替手段がない(専門性が必要、対応できる人が少ない)
  • 外的要因または即時対応が必要(第三者都合、当日対応、すぐ利用したい)

■ 顧客が時間をかけて選びたい場合

  • 高額・リスクが大きい(高単価、やり直し不可、失敗ダメージが大きい)
  • 成果が不透明・判断しにくい(結果が見えにくい、良し悪しの判断が難しい)
  • 内容・範囲が分かりにくい(サービス範囲が不明確、追加料金の不安)
  • 導入ハードルが高い(見積り、契約、設計、打ち合わせなど手間が多い)
  • 個別性・継続性が高い(個別対応が必要、長期利用前提で相性が重要)

顧客の課題の緊急度や、求める内容の深さによって、「見る情報」や「判断する基準」が異なってきます。

リスクと単価(失敗のダメージは大きいか)

顧客は、法人であれば「経営リスク」、個人であれば「自分のライフスタイルへの影響の大きさ」を基準に選択をします。

たとえば法人では、きちんと確認せずに大きな発注をすると、トラブルがあった際に経営へのダメージが大きくなります。個人でも、高額な買い物はリスクが高いです。

単価や失敗リスクが高いほど、顧客は「失敗したくない」という心理が強く働きます。

そのため、基本的な情報だけでなく、「この人・会社なら任せられる」と思える信頼材料(事例・実績・紹介等)が重要になります。

流入経路(どこで最初に見つけるか)

顧客の情報検索の方法が違うと、「最初に接点となる情報(タッチポイント)」も異なります。自社サービスや製品と顧客との接点がどこにあるか?を分類しておきます。

用語:

顧客が企業やブランドと接触する全ての接点のこと。Webサイト、店舗、SNS、広告、カスタマーサポート、メールなど、顧客が商品やサービスを認知してから購入、利用後まで、あらゆる段階で発生する接触機会を指します。


  • 検索サイト(Googleなど)

    特徴:ニーズが顕在化した状態で利用される
    最初に見られる情報:検索結果に出力される情報 → 何の会社か、誰向けか、何ができるか

  • 地図(Googleマップ)

    特徴:地域・店舗型ビジネスでは主要な接点になる
    最初に見られる情報:店名、事業内容、営業時間、写真、口コミ、場所

  • 予約サイト

    特徴:比較・即予約ニーズの受け皿として機能
    最初に見られる情報:ジャンル、メニュー/サービス、料金、空き枠、レビュー

  • ECサイト

    特徴:商品購入前提の顧客が利用
    最初に見られる情報:キャンペーン、価格、内容、レビュー

  • 紹介(人づて・口コミ)

    特徴:人間関係の信頼ベースでつながる
    最初に見られる情報:誰からの経由か、どんな状況でおすすめなのか、おすすめの理由や根拠

決定権(誰が決めるのか)

意思決定者が変わると、その相手が何をもとに判断するかによって、どのような情報を用意すべきかが変わります。

  • 本人が決める場合(B2C)

    気にすること:内容、価格、品質、手間、利用のしやすさ、雰囲気

  • 本人以外も関わる場合(家族・保護者など)

    気にすること:安全性、実績、評価、注意点、保証、利用の流れ

  • 担当者が比較・選定する場合(B2B)

    気にすること:体制、見積りの根拠、契約条件、導入事例、成果物に含まれるもの

  • 最終承認者が決める場合(上司・決裁者など)

    気にすること:投資対効果、リスク、妥当性、社内説明のしやすさ

診断結果をもとに、今月やるべき施策を決める

マーケティング戦略

事業の買われ方のパターンを分類したら、その情報をもとに「どこが詰まっているか」を探ることで、優先的に対応する課題と後回しにする課題が特定できます。

7つの質問から「詰まり場所」を診断

事業の詰まりの原因を特定します。次のチャートを使って、ご自身のパターンに当てはめてみてください。

その場でできるマーケティング課題診断チャート その場でできるマーケティング課題診断チャート

★マーケティング課題
診断チャート

7つの質問に答えると「最初に優先すべき課題」と「次に必要な課題」の2つが分かります。

/

Q. (現状)いま一番困っているのは、どれですか?

顧客が止まっている場所を選んでください。

迷ったら『今月いちばん困ったこと』で選んでOKです。

Q. 問合せや予約が伸びない理由は、どれが近いですか?

接点があっても、次の行動につながらない理由を見極めます。

いま特に問題がなければ『ここは問題ない』でOKです。

Q. 購入や再利用につながらない理由は、どれが近いですか?

判断材料に問題がないかを切り分けます。

他社サービスや製品との違いが分からない、価格や内容があいまいなど

Q. 顧客は急いでいますか?(緊急度)

急ぎが多いほど、短い時間で決まります。

急ぎが多い場合は、入口と行動がボトルネックになりやすいです。

Q. 失敗のリスクや単価は高いですか?(リスクと単価)

失敗のダメージが大きいほど、判断材料が重視されます。

高い場合は『相手に任せられる根拠』が求められます。

Q. 新規顧客はどこで最初に見つけますか?(流入経路)

顧客が最初に見つけやすい場所を選びます。複数ある場合は『いちばん多いもの』を選びます。

オンライン/オフラインどちらでもOKです。いまの実態として多い入口を選びましょう。

Q. 購入・契約を決めるのは誰ですか?(決定権)

決める人が増えるほど、説明・比較の材料が必要になります。

社内・家族・複数人の決裁がある場合は判断材料が重視されます。

診断結果

優先

入口(見つけてもらう接点)

いまは「最初の接点」を強化するのが先です。

入口の考え方を見る

行動(初回アクション)

いまは「顧客の次の一歩」を迷わず選べる状態にするのが先です。

行動の考え方を見る

判断材料(比較・検討)

いまは「比較・検討で納得する説明」を用意するのが先です。

判断材料の考え方を見る

継続(再利用・紹介)

いまは「また思い出される理由」を用意するのが先です。

継続の考え方を見る
次点

入口(見つけてもらう接点)

「最初に見つけられる場所(量)を増やす」と改善しやすくなります。

入口の考え方を見る

行動(初回アクション)

「次のアクションを用意する」と改善しやすくなります。

行動の考え方を見る

判断材料(比較・検討)

「比較・検討の材料をわかりやすくする」と改善しやすくなります。

判断材料の考え方を見る

継続(再利用・紹介)

「継続・紹介につながる設計」を行うと改善しやすくなります。

継続の考え方を見る

優先作業の「最低限セット」を決める

「入口」「行動」「判断材料」「継続」の優先課題に合わせて、マーケティング施策をどのように行うかを決めていきます。

入口が優先課題になった場合

入口が詰まっている場合、顧客が「まだ情報を見つけられていない」可能性が高いです。そのため、顧客との接点がどこにあるか?を意識して、顧客が集まりやすい場所に情報を置くようにしましょう。インターネットだけでなく、物理的な情報誌、地元新聞、広告、看板、などの方法も考えられます。

入口強化のポイントは「入口の数を増やすこと」ではなく、「どの入口を大きくするか?です。

  • 顧客の視界に入る(存在を見つけてもらう)
  • こちらから知ってもらうように働きかける
  • 検索・比較(探している人が多い)検索サイト(自然検索)/地図(ローカル検索)/予約・比較プラットフォーム(一覧で探す)/ECモール/比較サイト(商品を探す)
  • 紹介・評判(信頼で来る人が多い)既存顧客からの紹介/取引先/提携先からの紹介/口コミ・レビュー/地域コミュニティ(自治体、商店会、近隣ネットワーク)
  • 発見・認知(受け身で知る人が多い)店頭(看板、外観、メニュー表示)/チラシ、ポスティング、地域媒体/イベント、展示会、セミナー/SNS(投稿、ショート動画、リール等)/PR(メディア掲載、取材、寄稿)
  • 現場接点(直接会うタイミング)商談・見積りの場/受付・電話対応/納品・施工・アフターサポート/名刺交換・資料配布

行動が優先課題になった場合

行動が詰まっている場合、顧客は「接点を持ったが、次の行動に進んでいない」可能性が高いです。入口で見つけて内容を確認しても、申し込む理由がない/不安、連絡手段が分かりにくいなどの原因があると、その時点で行動が止まります。

行動強化のポイントは顧客が「行動したくなる状態」にすることです。顧客にとって「興味・関心を持ち行動をとりたくなる中身」を検討し、そのための「手段」を提供します。

  • 連絡後に何が起きるかが想像できる(得られるものがわかりやすい)
  • 連絡の手段が明確である(時間や手段などの方法がわかりやすい)
  • 即時型(その場で確定したい)電話/即時予約/当日枠/来店
  • 相談型(確認してから進みたい)問い合わせフォーム/LINE/無料相談/見積依頼
  • 比較型(候補に残したい)資料請求/サービス資料DL/メール問い合わせ
  • 決裁型(社内で動かしたい)見積依頼/提案依頼/商談予約(担当者につながる窓口)

判断材料が優先課題になった場合

判断材料が詰まっている場合、顧客は「比較や検討の途中で止まっている」可能性が高いです。購入まで進まないのは、比較検討のために必要な情報が足りていないことが原因です。

判断材料強化のポイントは「情報量を増やすこと」ではなく、顧客が「比較で迷う理由を先に解消すること」にすることです。判断材料は詳細よりも、不安の種類に合っているかで価値が決まります。

  • このサービスが「自分に合うか」が判断できる(対象・条件が見える)
  • 失敗しないための見通しが立つ(範囲・費用・流れが想像できる)
  • 適合性の材料(合う/合わない)向いている人、向かない人、対応範囲
  • 見通しの材料(どれくらいかかるか)価格の前提、期間、進め方
  • 信用の材料(任せて大丈夫か)実績、事例、数字、レビュー、体制
  • 比較の材料(何が違うか)何を基準に比べれば良いか、選び方の軸

継続が優先課題になった場合

継続が詰まっている場合、顧客は「一度は利用するが、その後につながっていない」可能性が高いです。まずは、既存顧客からの再利用・紹介・口コミがもらえる仕組みを作る方が、コストが抑えられ、安定しやすくなります。

継続強化のポイントは、顧客に「次に思い出してもらう理由」にすることです。

  • 次に必要になるタイミングが想像できる(いつ、どんなときに再利用するか)
  • 人に勧めるメリットがある(紹介しやすい/得られるものがある)
  • リピート改善定期利用、メンテナンス、季節需要、更新・点検
  • 紹介を増やす似た悩みの人、同業・近隣、家族・同僚への紹介
  • 口コミを増やす満足が高い/体験が分かりやすい/レビューが価値になる
  • アップセル次の段階のサービス、追加メニュー、関連商品

「やらない判断」を文章で書き出してみる

マーケティング施策は、良さそうなものを追加していくと、途中で作業量が肥大化します。

優先順位として「今はやらない判断」を先に決めておくことで、情報発信やマーケティングの予算配分が「現在の課題に沿ったもの」になり、時間とお金の使い方が安定します。

例:「B2Bの精密機器販売」なら、インスタ投稿を毎日頑張るよりも、1件の深い導入事例を作るほうが成約へのインパクトは100倍大きい

  • 優先課題ではない作業は、いま増やさない
  • 管理できない数の入口や媒体(チャネル)は持たない
  • 比較検討に必要な情報が欠けたまま、先に広告で入口だけ増やさない
  • 情報を増やすこと自体を目的にしない
  • 口コミや紹介をお願いできない状態のまま放置しない

まとめ:マーケティング施策は「増やす」よりも「選ぶこと」で強くなる

このページでは、「広告をやるべきか」「SNSを頑張るべきか」といったスポット施策ではなく、事業内容に合わせて、ボトルネックを特定し施策の優先順位を特定しました。

POINT

  • 顧客からの買われ方(緊急度/リスク/流入経路/決定権)で、状態をチェックする
  • 診断チャートをもとに「詰まり場所(入口/行動/判断材料/継続)」を判断する
  • 優先課題に合わせて対策を選び、やらないことも決めておく

やることを増やすのではなく、「いま必要な作業を選んで強化」する。この判断ができると、時間や予算配分がうまくいき、Webサイト制作や広報活動の成果につながりやすくなります。